オープニング

「仕方ない。実は困っていたので結果的にはありがたい」

 インヤンガイの仮想現実空間『壺中天』。
 その中で、世界図書館館長エドマンド・エルトダウンは、ついにその存在を捕捉されることになった。

「私はインヤンガイから、ある方法でもって別の世界に移動しようとしたのだが、その試みに失敗してしまった」
 彼はそう語る。そしてインヤンガイとディラックの空のあいだともいうべき『世界の狭間』で、ディラックの落とし子と遭遇してしまったというのだ。

「私の身体はそこに捕らえられたままになっている。精神だけはこの空間に接続して自由になることができたが、八方ふさがりの状態だ。『世界の挾間』にはロストレイルでも行くことはできない。しかし、ここを通って私をとらえている落とし子を撃破することはできるだろう」

「今まで逃げ回っていて今さら虫のいい話だが、私を助けてくれないか」

  * * *

「まあ、そんなわけでだな。館長を助けに行くぞ。トレインウォーだ。支度してくれ」
 世界司書シドが告げる。
「先の調査隊が本人と話ができたおかげで、『導きの書』もさらに情報を得ることができた。ディラックの落し子は――大型のワームだ。大きさだけなら、北海道遠征のやつよりもデカイ。ただ、かなり特殊なタイプだ。場所的に手出しできないってだけじゃなく、やたら固い。これじゃどこにいようが攻撃は難しいな。もっともそれは向こうも同じで、こいつは物理的な攻撃力を持っていないんだ。そのかわり――」

 世界の外側からでも、その内部の『情報』に干渉する。
 それがこの落し子の能力だとシドは言う。つまり、インヤンガイはこの落し子の侵入を許していないが、落とし子はすでに侵食を開始していたことになる。おそらくここで発見されなければ、いずれ『壺中天』からインヤンガイが蝕まれていたことだろう。その意味でも、今回のトレインウォーには意義がある。

「そいつをどうやって倒すんだって話だが、ずばり、こちらからも『情報』で攻撃する。やつは世界の外側からインヤンガイ内のネットワークに接続したような状態になっている。そこからインヤンガイ側の情報を書き換えて侵食を始めているんだが、逆にこっちから情報を送り込むことでダメージを与えることができる。……わけがわからないって? まあ、俺も正直、よく理解してない。ごく簡単に言うと、こういうことだ」
 シドは力強く言う――

「おまえら、『壺中天』の中で大暴れしてこい」

 それが今回のトレインウォーのミッションであった。
 すでに現地の探偵に協力が依頼され、ロストナンバーたちが『壺中天』に入り込むための機材と、仮想現実の世界で有利に働き、ディラックの落し子にダメージを与えるためのプログラムが手配されている。  奇妙な……それはあまりに奇妙な戦いであったが、その先に、探し求めたかの人物と、本当にまみえる時が近付いているのだった。


ご案内

「ついに館長を発見!」そんな報告がインヤンガイから飛び込んできました。ただし、見つかったのは館長の意識体だけ。館長は意識だけの存在となりインヤンガイの仮想空間ネットワーク『壺中天』の中をさまよっていたというのです。その肉体は、インヤンガイとディラックの空の中間地点――「世界の狭間」にて遭遇したディラックの落とし子にとらわれてしまっています。

しかも、館長の肉体をとらえている落とし子は「ネットワーク空間を通じたインヤンガイへの侵食」を始めており、このままでは危険です。世界図書館は、「館長の身柄の確保」と「インヤンガイに侵食する落とし子の排除」のふたつを目的としたトレインウォーを発動しました。

このイベントはイベント掲示板形式で行われました。

→そして攻略の結果は……!?


■参考情報
→これまでの経緯

■「トレインウォー」とは?
世界図書館が、世界群の秩序に大きく影響を与えると判断した事案に対して発動する特別な作戦、それがトレインウォーです。トレインウォーにおいては、通常は移動手段としてのみ用いられる世界間鉄道ロストレイルが戦力として投入されます。また、世界司書が指揮官として現地に派遣されます。「トレインウォー:壺中天クエスト」の担当司書はシド・ビスタークです。

作戦概要

■巨大ワーム『ハンプティ=ダンプティ』
世界司書の予言により、館長をとらえているディラックの落とし子の情報が判明しました。世界図書館はこの大型ワームを「ハンプティ=ダンプティ」と名づけました。「ハンプティ=ダンプティ」は物理的な攻撃力をほとんど持たないかわりに、堅牢な外殻で身を守っており、また、世界の外側からでも内部の情報に干渉する特殊な能力を持ちます。この特性を活かして、「ハンプティ=ダンプティ」はインヤンガイとディラックの空の狭間に身を潜め、インヤンガイのネットワーク空間『壺中天』を通じた侵食を行っているのです。

■『壺中天』とは?
『壺中天』とはインヤンガイで利用されている技術で、バーチャルリアリティ(仮想現実)を用いたインターネットのようなものです。壺のような形状の端末を頭にかぶることで『壺中天』にアクセスでき、意識体だけがネットワーク内の仮想現実空間に入ることができます。

■『壺中天』で大暴れ……!?
この特殊な状況を打破するために、ロストナンバーもまたネットワーク空間側から攻撃を行うという作戦が展開されます。具体的には、「ハンプティ=ダンプティ」が侵食のアクセスポイントとしている『壺中天』の中で暴れ回るという方法です。

ロストナンバーが『壺中天』の深部にアクセスし、「ハンプティ=ダンプティ」に近づくと、敵は『情報』によって防衛しようとします。『壺中天』は仮想現実の空間ですから、それはたとえば「立ちふさがるモンスター」や「堅牢な城壁」のように見えるかもしれません。ですが何であれそれは単なる情報です。こちらも情報をさまざまな武器や魔法に変え、それを撃破してゆきましょう。傍目に見れば、それはまるでコンピュータゲームのようかも……しれません。

世界図書館の協力者であるインヤンガイの探偵・モウ・マンタイは、危険を冒して参加ロストナンバーに行き渡るだけの『壺中天』端末と、特殊なプログラムを入手してくれました。この大冒険の過程で、残念なことにモウ探偵は命を落としてしまいました。彼の立派な最期については、トレインウォーには関係ないので省略します。尊い犠牲に報いるためにも作戦を成功させましょう!

■参加方法
今回は作戦の特性上、一丸となった軍団よりは少人数のグループのほうが効率が良いと考えられます。そこで今回はロストナンバーたちがパーティーを組んで攻略活動にあたります。手順は次のとおりです。

<1>パーティーを結成
パーティーは1人のリーダーのもとに結成されます。パーティー募集掲示板で、リーダー志望者がスレッドを立て、メンバーを募集して下さい(掲示板を利用せず、お友達同士で連絡をとりあってパーティーを組んでも構いません)。パーティーは11月20日までに組んで下さい。

<2>攻略スレッドを作成
パーティーができたらリーダーは攻略掲示板にスレッドを作成します。このスレッドの内容が、各パーティーが行った『壺中天』における攻略活動、となります。具体的に何をするかは……リーダーに委ねられています。「ハンプティ=ダンプティ」の情報攻撃は、リーダーの解釈によって仮想現実として展開します。リーダーが「モンスターがいる」と思えば、そこにモンスターがいるのです!

<3>メンバーも攻略に参加
パーティーメンバーは、スレッドに書きこまれた状況に対応して行動して下さい。つまり、今回の作戦は、パーティーごとにまったく違う現実の中で冒険したり、戦ったりすることになります。もしかすると、戦いですら、ない場合も?

<4>攻略の結果は……
11月26日まで書きこまれた内容をもとに、各パーティーの攻略がどの程度効果的だったか判定されます。ロストナンバーたちは「ハンプティ=ダンプティ」を倒せるでしょうか?

イベント掲示板

このイベントは下記イベント掲示板を利用して運営されました。
掲示板には誰でも参加できます。

■壺中天クエスト:パーティー募集&交流掲示板

■壺中天クエスト:攻略掲示板(過去ログ)

→そして攻略の結果は……!?

これまでの経緯

■インヤンガイ大捜索の成果は……
「館長はまだインヤンガイにいるのでは」。さまざまな情報が示す手がかりから導かれるのはその推理でした。現地の探偵たちの協力を得て起こった捜索活動の結果、ロストナンバーは企業スパイの疑いで追われていた男と出会います。男はたまたま容貌が「館長に似ていた」ため、追われていたようです。館長に似た人物が、『壺中天』ネットワークの中で見かけられたというのですが……?

■摩訶不思議なバーチャル空間『壺中天』へ
手がかりはバーチャルリアリティによってつくられるネットワーク空間『壺中天』にあると考えたロストナンバーは、インヤンガイの技術を用いて仮想の世界へダイブします。そこで、意識だけの存在となってさまよっていた館長とついに対面を果たすことができました。

■館長エドマンド、その旅の軌跡
現在までに、さまざまな調査からわかっているのは次のことです。

旅立ち 世界図書館館長・エドマンド・エルトダウンは、『世界を救う方法』を見つけるために単身旅立ち、消息を絶ちました。なぜ誰にも告げずに旅立ったのかは謎です。
ヴォロスへの旅 彼はまずヴォロスに立ち寄り、古代種族ドラグレットと交流することでかれらの聖域の力を借りることにし、そのパワーによって「自身のセクタンを封印する」ことで、世界図書館の追跡を完全に封じたのです。(※この事実はヴォロス特命派遣隊によってつきとめられました)
ブルーインブルーへの旅 その後、ブルーインブルーへ赴いた館長は現地の古代文明を研究する学者・スタンドストン博士と交友しました。ブルーインブルーの失われた文明『沈没大陸』の謎を解くことが『世界を救う方法』のヒントになると考えたのでしょうか。しかしこれは達せられることはなく、「何者かの襲撃」を受けた館長はブルーインブルーを逃げ出します。(※この事実はブルーインブルー特命派遣隊によってつきとめられました)
カンダータにて その後、なんらかの原因でロストレイルが故障、カンダータに不時着してしまいます。館長はカンダータに協力することで現地で一定の立場を得ることに成功。カンダータの異世界侵攻に乗じてインヤンガイに渡ったのち、カンダータ軍からは出奔しました。(※この事実はカンダータ訪問団によってつきとめられました)
そしてインヤンガイへ 最後に見かけられた館長は、暴霊域『美麗花園』ででした。この地ではかつてカンダータ軍が「異世界同士を接続する実験」を行っていました。それは失敗したはずでしたが、館長はその名残を利用して「ロストレイルを用いずに異世界に渡る秘術」を行使しようとしたのです。しかしそれは世界の狭間で遭遇したディラックの落とし子のために、成功しませんでした。


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螺旋特急ロストレイル

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