飛んで！世界遺産：第３ターン

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「壱番世界って街ばっかりだと思ってたけど、こういう場所もいっぱいあるんだねー。楽しいなぁ」
　そう言ったのはディガーである。
　そこはスペイン、アルタミラ洞窟。
　旧石器時代に描かれた壁画が残る場所として知られた世界遺産であるが、貴重な壁画の劣化に考慮して、現在、洞窟は一般に公開されていない。
　ロストナンバーたちは、そこをどうにかこうにかして、洞窟内部に足を踏み入れていた。
　洞窟は隠れるには最適の場所だ。シェイムレス・ビィたちが隠れていないとも限らない。
「いないようだな」
　百田 十三が火燕や飛鼠を召喚し、洞窟内を探索させたが、しかし、残念ながらここで敵を発見することはかなわなかった。
「……どうかした？」
　ディガーは、物思いに沈んだかのような十三に声をかける。
「いや――。つい魍魎夜界の事を思い出してな。人は隠れ住む必要があった、ほんの数年前までは。それが何やら感慨深くてな……」
　十三は壱番世界の洞窟に、もといた世界のことを思い出したようだった。

　実のところ、そのとき、同じスペイン国内に、ビィたちは出現していた。
　イベリア半島の地中海沿岸の岩絵として世界遺産に登録されている、岩絵の残る場所をうろついていたのだ。性質から言っても、アルタミラ洞窟はニアピンであった。

「当てがないのも困りものですわね……」
　イタリアは「カゼルタの18世紀の王宮と公園、ヴァンヴィテッリの水道橋とサン・レウチョの邸宅群」周辺をそぞろ歩きながら、三雲文乃が呟いた言葉は、みなの共通の思いであったろう。
　一度でも誰かが訪れた場所は候補から外れる。
　それにしたって、候補地は膨大だ。
　なにかほかに、敵の出現地を予測する手がかりがあればいいのだが……。

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