イラスト/背景:新田みのる キャラクター:神馬なは

モリーオ・ノルド

ブルーインブルー。この世界は、かつて高い文明が栄え、それが滅びた後、今は地表のほとんどが海に覆われている世界だ。前館長が滅び去った文明――「沈没大陸」の謎を解くためにこの世界に立ち寄ったというが……今のブルーインブルーは、海原の覇権を争う海賊たちと、海上都市との抗争が続いている。

ブルーインブルーの情勢について、まとめておこう。

ブルーインブルー情勢~ジャンクヘヴン動乱~

■列強海賊:海原の君臨者たち

ブルーインブルーの情勢を語ることは列強海賊の動向を知ることと同義です。大海原を暴れまわる海賊たちのうち、代表的なのが以下の5人の海賊たちです。

海賊王子・ロミオ
かつて海原のすべてを支配したと言われる伝説の大海賊王・グランアズーロの後継者を名乗る青年です。略奪した船の金や物資を海上都市の貧民層にバラまくため、民衆からは義賊とみなされています。ある事件がきっかけで、ジャンクヘヴン海軍に捕縛されたのですが……。
血の富豪・ガルタンロック
人身売買などの邪悪な「商売」によって富を蓄える、海賊にして豪商である男、それがガルタンロックです。他の列強海賊たちとも「取引」を通じて関係を持っています。しかしフランチェスカとは犬猿のなかで、水面下で激しい抗争をしていると言われています。
赤毛の魔女・フランチェスカ
謎の多い女海賊です。都市全体が歓楽街となっている海上都市「夜に咲く花・ロトパレス」をガルタンロックと二分して勢力下に置いていると言われています。あまり表立った行動を控えているように見えますが、実際のところはよくわかりません。
鉄の皇帝・ジェローム
目下、最大の勢力を持つとされる大海賊です。移動する海上拠点「軍艦都市ジェロームポリス」と、古代文明の技術を復活させた機械海魔の軍団で、辺境の海上都市を次々に襲撃し、住民を誘拐しています。そのため海上都市同盟との緊張が非常に高まっています。
亡霊船長・ジャコビニ
亡霊船に偽装した船で、霧にまぎれて略奪を繰り返していた謎の海賊です。霧を生み出していたのは古代文明の遺失機械であったようです。ジャンクヘヴンの勢力を削ぐために暗躍するなど、謎めいた行動が多かった人物ですが、その正体は驚くべきものでした。

■ロミオの捕縛、そして出奔

海賊王子・ロミオは、人々から義賊だと呼ばれていましたが、ジャンクヘヴンからしてみれば海賊の一人に過ぎません。ジャンクヘヴンはついに彼を捕縛することに成功しましたが、民衆から支持を受けている彼をただ処刑すれば、人民の反発を招きかねないことから扱いに苦しみ、長らく無為に収監するばかりでした。

ジャンクヘヴン全土が年に一度の祝祭『海神祭』に賑わう夜、ロミオが何者かの手引きによって監獄を脱出します。これは、ロミオが握るという「海賊王グランアズーロの遺産」の情報を狙った亡霊船長・ジャコビニの暗躍であったと噂されています。

ロストナンバーたちの活躍によって、ロミオは脱走したものの、その動向を監視され、追跡されることになってしまいます。彼が向かったのは「黒真珠の砦・シェルノワル」。その存在が知られながら誰も場所を特定できないでいた、海賊たちの町でした。

シェルノワルで、ロミオはなぜかガルタンロックから物資提供の申し出を受けます。
ロミオはこの町で態勢をととのえ、船を入手するとかつての部下たちとともに新たな航海へと出発します。それは「海賊王グランアズーロの遺産」であり、「沈没大陸の秘密に近づくカギ」を手に入れるためだというのですが……?

このとき、シェルノワルで起きた船火事と混乱とが、ロミオが旅立ったあとのジャンクヘヴン近海に大きな波瀾を招くことになります。

■鉄の皇帝VS海上都市同盟

前館長エドマンドの足取りを追うため、ブルーインブルーに派遣された「ブルーインブルー特命派遣隊」。かれらの航海のまえに立ちはだかった障壁こそ、海賊ジェロームでした。

古代文明の技術をわがものにせんとするジェロームは、古代文明を研究している学者たちを誘拐しては自分のために働かせていました。その中には、かつてエドマンドの知己であったスタンドストン博士の姿も。ブルーインブルー特命派遣隊のロストナンバーたちは、ジェロームの拠点「軍艦都市ジェロームポリス」に潜入し、学者たちを救出することに成功します。



このときあきらかになった情報……すなわち、ジェロームが辺境海域の住民を奴隷化していたり、機械海魔の軍団を強化していたりといったことは、ジャンクヘヴンを盟主とする海上都市群に大きな危機感を抱かせました。

ジャンクヘヴンは、それまで中立関係にあった海上都市「神槍の砦・アトラタ」とも同盟を結ぶことに成功し、これにより、ブルーインブルーの海にはジェローム海賊団VS海上都市同盟の構図がいよいよはっきりと浮かび上がってくるのでした。

■動乱への潮流

ジェロームの勢力が増すごとに緊張が高まる中、ジャンクヘヴンは、世界図書館に助力を要請してきました。アリッサ館長は世界司書の慰安旅行の行き先にブルーインブルーを選ぶなど、この世界への関心を示しながらも、戦争への介入へは二の足を踏んでいました。それは、この世界の命運を大きく左右してしまう可能性があるからです。



そんな中、事件は起こります。
ロストナンバーのひとり、日和坂 綾は、ブルーインブルーへの帰属を志望してこの世界を足繁く訪れていましたが、突然、ジャンクヘヴンの要人・宰相レイナルドを襲撃した容疑をかけられてしまったのです。どうやら、彼女の積極的な行動の数々が、ジャンクヘヴン海軍に不審を抱かせたり、一部の海賊に恨みを抱かれたりといったことにつながったようなのですが……。

宰相レイナルドの襲撃容疑が冤罪であることを証明するためジャンクヘヴンへ向かった綾たち一行を待っていたのはさらなる混乱でした。

襲撃は宰相レイナルドの狂言であり、彼こそ、ジャンクヘヴンを転覆させるために暗躍していた亡霊船長・ジャコビニの正体であることが判明します。しかも、もうひとりの宰相で、元ロストナンバーとして世界図書館とのパイプ役を担ってくれていたはずの宰相フォンスは、それを知りながら看過していたと言うのです。

宰相フォンスも内心では、世界図書館の介入が度が過ぎると感じていたようです。そのフォンスは、審議の場で突如、狂乱し、異形の怪物になってしまいます。世界樹旅団が彼をマンファージに変えてしまっていたのです。

ファージ化したフォンスは逃亡。レイナルド宰相/ジャコビニは建物の破壊に巻き込まれて死亡しました。
そして、混乱のさなかに、綾は何者かによって拉致されてしまうのでした。

アリッサ館長は綾の救出と、ジャンクヘヴンへの対応を目的とする特命部隊を派遣することにします。この期に及んで、世界図書館は否応なくブルーインブルーの情勢に巻き込まれていくことになったのです。



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螺旋特急ロストレイル

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